アスペルガーの人との会話〜メイド喫茶勤務時編〜

 

日常生活において「アスペ」という言葉を使う機会って結構ありますよね。最近は尚更そういった機会が増えたように思えます。ちょっと奇怪な行動をした人に対して「アスペかよ!」などと突っ込んでみたり、また自ら奇怪な行動をして"アスペぶって"みたり。良い意味でも悪い意味でも「アスペルガー症候群」の認知度は高くなってきて、身近な存在になりつつあると思います。


ざっくりとしたアスペルガーの説明をします。アスペルガー症候群には「コミュニケーションの問題」「対人関係の障害」「限定された物事への興味やこだわり」の3つの症状があり、自閉症と同じ自閉スペクトラム障害(ASD)の一種とされています。脳の前頭葉の下前頭回などの社会的な活動をするための脳の部位に機能異常があるともいわれています。そして大体の人は、自分がアスペルガー症候群であるということに気づいてないことが多いです。

 

こうやって書くとなんだか小難しく感じますが、なんだか会話のキャッチボールがうまくいかない人、悪い意味で独特な雰囲気をまとっており周囲の空気が読めない人、周りにいませんか?わたしも19年という短い人生の中で「あ、この人アスペルガーだ…」と感じる人に何人も出逢ってきました。その中でも圧倒的にアスペルガーの人との遭遇率が高かった時期は、メイド喫茶で働いてた頃です。秋葉原アスペルガーの人が多い!!!!ほんとに多い!!!オタク=アスペルガーだなんてことは絶対にありません!でもアスペルガー症候群の特徴的行動が悪目立ちしてたのはやっぱりメイド喫茶時代のお客さんその他が殆どでした。不謹慎ですが、その中でも面白かった方をご紹介して、そこからアスペの方との会話の成立方法をご説明させていただきます。

 

水樹奈々様命!のオタクさん

真冬の寒空の下、ビラ配りをしていた時の話です、1人の男性が話し掛けてきました。「メイドさんだ〜かわいいねえ」一目見た瞬間にあ、この人きっとお店には来てくれないな…と思いました。失礼ですが、単純に路上で(そしてお金を払わずに)メイドと話してみたいという好奇心をヒシヒシと感じてしまったのです。

案の定、その方はいきなり「さっきねえ奈々様のライブに行ってきたんだ!俺は熱狂的なファンなんだ!ファン歴もう10年くらいになるかな」と嬉々として話し始めました。

「おお、奈々様お好きなんですね!どうでしたか?!楽しかったですか?」

「うん!グッズだけ買ってきたんだよ!見てこれ!このポスターがさ〜」云々かんぬん、、、

ウワァ〜!!!それライブ行ったって言わねえだろ!まるで会話が成立しねえ!アスペだ!!!

アスペの方は、自分の好きなものに対しての執着が強く、それを語りだすと止まらないという特徴があります。人の話に興味はなく、ただ自分の話を聞いて欲しいだけなのです。会話のキャッチボールで例えると、時速150kmのデッドボールをガンガン投げてくる感じ。その方はそれにモロ当てはまっておりました。アスペの方が好きなものを語り出した時はうんうん、と延々相槌をうてばいいのです。そして、自分の知ってる範囲で会話を広げていけばいいのです。その時の私もそうしました。

「奈々様って、妹さんいますよね!妹さんも歌手なんですよね???」

ピクッとその人の動きが止まったのがわかりました。あれ?私なんかまずいこと言ったかな…?

「え?妹?奈々様に妹なんていたかなぁ〜俺奈々様ファン歴もう10年くらいになるけど妹がいるなんて言ってなかったと思うけどなあ???うーん???」

その人は今までの倍速で話し始めました。焦っていたのかもしれません。アスペルガーの人って、好きなものに対して執着するわりに意外とそれについて詳しく調べなかったりするんです。○○が好き!と周りに豪語するわりに知識が浅い。そして自分の知らない○○についてのことは全部嘘っぱちだと決めつけて怒る人が多いのです…

「えぇ〜たしかMIKAちゃんって名前で歌手やってた気がしますよう」

「MIKA…?いやいやいや奈々様に妹なんていなかったよ、誰かと勘違いしてる?」

「え〜いた気がしたんですけど〜」

もう「いる、いない」の堂々巡りです。実際に水樹奈々に妹はいます。MIKAという名義で歌手をやっています。ネットで調べてみてください。私が完全に正しいのです。でもきっと、奈々様オタのこの人はそのことを絶対に認めはしない。アスペルガーの人は否定する能力に長けているので、いくら言ったって永遠に否定されるだけです。ここでネットで検索かけて真実を突きつけても逆ギレされるだけです。私は全てを諦め、笑顔になって言いました。

「そうですね、私の勘違いだったのかも!ごめんなさいね…!」

「そうだよ勘違いだよ!ララちゃん(その時の源氏名)たらおっちょこちょいなんだから〜!」

どっちがおっちょこちょいなんだまったく……別に私は真実至上主義でも論破大好き人間でもないし、アスペルガーである彼を否定したらどんなに傷ついて、面倒くさいことになるかもよくわかっているのでそこで諦めました。その後も延々と奈々様話を聞かされて、バイバイしました。(やっぱりお店には来てくれませんでした)

 

こんな風に、アスペルガーとの方と会話をしていると、すごく理不尽な思いをすることもあると思います。でもそこで真実を掲げてアスペルガーの人を否定するのは間違いなんです。一旦全てを飲み込んで、受け入れるしかないのです。間違ってることを間違っていると指摘することは良いことです。でも私は、アスペルガーの人に対してもそれが正しいことなのかどうかはわかりません。後に、アスペルガーの人が誰かを傷つけてしまうような間違い、当人が傷つくことになるかもしれない間違いはやんわり指摘してあげましょう。本当にやんわりです。「あなたの言うことは勿論なんだけど、こういう考えもあると思うよ〜」くらいに伝えてあげましょう。

色々考えたのですが、アスペルガーの方と上手く会話を成立させるには

①完全に聞き役に回ること

②間違い(どうでもいいこと)をいちいち指摘しないこと

③後にアスペルガーの人が損をする、誰かを傷つけてしまうような間違いはやんわり指摘してあげること

 

が大事だと思いました。円滑に会話が進んだら嬉しいですよね。以上です。